先達はあらまほしきことなり

デジタルテクノロジーの活用と展望

AIの導入コスト

AIを導入するといっても、その種類や形態は様々だ。
いろいろなケースがあるので、ここでは敢えてシンプルに捉えて、コスト構造を紹介してみる。

開発に掛かるコストは、ほとんどが人件費だ。
ソフトウェア開発には原則として物理的な材料費がかからない。
食材が必要な飲食店や、原料が必要な製造業とはコスト構造が大きく異なる。
開発環境に必要なPCやサーバーなどの設備も必要だが、人件費に比べるとよほど特殊なケースを除いて百分の一程度だ。
※特殊なケースとは例えば、スーパーコンピューターを使うような開発

では、何人がかりで開発を行うのか。
そして、どれくらいの期間が必要なのか。

このような発想になるのが一般的なので、見積書もこのような文脈で作られるケースが多い。

本案件ですと、6人のエンジニアが必要で、3ヶ月掛かります。
したがいまして、6人×3ヶ月×100万円/人月=1800万円

という感じで見積書が提示される。
エンジニアのレベルによって単価は違うが、平均で100万円/月だ。
これはいろんな手数料が含まれており、その金額がそのままエンジニアの給料とはならない。

AIに限らず一般的に、ソフトウェア開発を外注すると提示される見積書には

人数×期間×単価

という内訳で開発金額が算出されている。

本記事のテーマはAIの導入コストなので、ここで終わってもよいのだが、実はここから裏話を交えて、見積金額を大幅に削減するテクニックを紹介したい。

どこを値切るか。
単価ではない。

重要なポイントは、人数だ。
単価が100万円/月は概ね妥当な金額であると言ってよい。
人ひとりに支払う給料から逆算すれば、AIを開発できるエンジニアに支払う金額としては決して高くはない。
逆に、30万円/月で見積書が提示されたら、AIを開発できるレベルのエンジニアなのかと疑いたくなる。

注目すべきは、人数だ。
AIを開発できるエンジニアにはプログラミング能力が必須だ。
大きな建物を立てる場合は、大人数の大工が必要だが、プログラミングの世界は違う。

並のプログラマー100人が集まってプログラミングするより、腕の良いプログラマーひとりの方が、出来上がったプログラムを見ると、高品質という例はたくさんある。

ソフトウェア開発においては、労働集約型の作業ではないので、開発に関わるエンジニア一人ひとりの能力が重要だ。
見積書に書いてある人数が6人でも、並のエンジニアばかりで構成されているか、腕の良いエンジニアがいるかで開発の品質や、開発期間が大きく違ってくる。

腕の良いエンジニアが入っているなら、6人もいらないのではないかとの視点も必要だ。

もしかすると、腕の良いエンジニアひとりの他の5人は入社2年以内の見習い色の強いエンジニアが混ざっているかもしれない。
OJTは確かに有効な社員教育だが、その経費を発注者側が負担する必要はない。

開発に参画するエンジニアのレベルが、コストのみならず、出来の良し悪しに大きく関わるので注意が必要だ。